Sunset Memory |
壇×海堂 |
今日は珍しくいつもよりも少しだけ早く部活が終わって。海堂薫は夕暮れの道を一人、歩いていた。 常ならば居残って一人自主練習をするのだが、その日は珍しく他の部員達と一緒に部室を出て。駅前のファーストフードに行こうと誘う桃城の誘いを、これはいつも通りに断って家路についていた。 ふと顔を上げれば夕日に染まる川がキラキラと反射して目を奪われる。 たまには、こうやってのんびり帰るのもいいもんだな。 少しだけ感傷的な気分の海堂の思考を遮るように。 「あっ、アナタはっ!!」 耳につく高い声で唐突に叫ばれて、海堂思わず振り返った。別に自分が呼ばれたと思ったわけでもなかったのだが、条件反射に近い行動だ。・・・その声に、微か、聞き覚えがあったせいもある。 「やっぱり! えっと、えっと・・・」 しかし、海堂の意図に反して、声の主である小柄な少年の視線は海堂に注がれていた。少年は、下を向くと下がってくるらしい少し大きすぎるヘアバンドを押さえながら手元のノートをめくった。 「あった! 青学の、えっと、海堂さんっ!」 「・・・そうだが、なんか用か?」 海堂は、常から鋭い視線を更に尖らせて、小柄な少年を見下ろす。 「わー、偶然ですー、嬉しいですっ」 しかし、そんな海堂の眼光に恐れる素振りもなく、少年はにこにこと笑顔を見せる。 「あ、遅くなりました。僕は、山吹中テニス部の壇太一ですっ」 いいながら、ぺこりと頭を下げる。その拍子に、またヘアバンドがずり下がる。 「山吹中? ・・・あぁ」 壇の自己紹介にようやく合点がいったのか、一応見知っている人間と判って海堂の表情が少しだけ和らぐ。 「海堂さんは、これから練習ですか?」 「・・・まぁ」 確かに、家に一度帰ってから着替えて、自主練に出る予定ではある。しかし。 「もし、練習の邪魔にならなければ、でいいですけどっ」 「なんだ」 「あの・・・良かったら。試合、してもらえませんか?」 「・・・は?」 壇の、あまりに唐突な申し入れに、海堂が思わず口を開いたまま固まれば。 「あの、僕、マネージャーじゃなくてテニス、始めたんです!」 壇は元気よく、手にしたラケットを突き出した。 「ありがとうございました」 結局、海堂は壇に押し切られるように、近くのテニスコートに連れて行かれ。1セットマッチ。 海堂と壇では明らかに体力差があり。試合の結果は海堂の圧勝。それでも、諦めずに最後までボールに手を伸ばす姿は好意的に写った。その姿は、今よりもまだ未熟だった昔の自分を重ねるような気持ちになったのだろう。 「ちょっと休んでろ」 テニスコート脇のベンチの傍の地面に座り込んではぁはぁと荒い呼吸を繰り返す壇にタオルを投げると、コートの入口近くにある自動販売機へと向かい、缶ジュースを二本買った。冷たい缶を手に持って元居た場所まで戻れば、地面に座ったまま海堂の投げてよこしたタオルを頭にかぶって呆けている壇の頬に。 「わっ、冷たいですっ」 押し付けた。 「ほら、飲めよ」 そのまま手を放された、雫のついた缶を落とさないように、と壇が慌てて受け止める。 「あ、お金っ」 「それくらいおごってやる」 「・・・ありがとうございますっ、いただきますですっ」 やたら嬉しそうに笑う壇につられて、海堂の頬もわずかに緩む。 (わ、海堂さん・・・笑った!) 幾度と逢ったわけではないけれど表情の硬い印象のある海堂の見慣れない笑顔に、壇はなぜか心が浮き足立つ。 ふと視線をずらせば。ハーフパンツの裾から覗く、ほどよく日焼けした足がすらりと伸びていて。 (・・・亜久津先輩とはまた雰囲気が違うけれど、海堂さんの足はとても強くて、とてもキレイです) 吸い寄せられるように、壇は海堂の、しなやかな筋肉のついた足に手を伸ばす。 「何してんだ?」 訝しむ海堂の声は無視して、海堂の膝から内腿にかけて指を滑らせた。 「オイ、バカなことやってんじゃねぇよ」 呆れた顔で壇を見下ろすものの、やたらと真剣な顔つきで自分の足を撫でる、まだ成長途中の壇の小さな手をそう無碍に振り払うこともできず。 (はぁ、筋肉のつき方ももちろんですけど・・・肌もすべすべで、ステキな手触りです) しばらく好きにさせていると。 「はぁ」 壇が熱い吐息をこぼし。 「海堂さん・・・僕、なんだかヘンな気分になってきちゃったです」 「はぁ?」 壇の頬を上気させているのは、テニスによる運動ではないのか? 海堂が、壇の様子に一抹の恐怖を覚えたその時。 「僕、こんな気持ちになったの初めてですっ」 言うなり、突然。壇が海堂を押し倒した。 「ば、ばかやろう、いきなりなにすんだっ」 体格差でいえば明らかに海堂の方が勝っている。が、しかし。体重を掛けて上半身を押されたせいでいとも簡単にベンチに押したおされてしまい。 「するのは初めてですけど、やり方は亜久津先輩に教えてもらったですっ」 「お、おいっ、するってなにする気だっ」 覆いかぶさる壇は熱に浮かされたような表情をしている。 「この状況でするっていったらひとつですっ」 「ちょ、おい、待て――――んっ」 海堂の静止の言葉の途中で、壇は唐突に唇を塞いだ。 噛み付くような拙いキスに、抗おうにも自分よりも遥かに小さな体を力ずくで跳ね除けることもできず。息をするのも忘れて絡みつく舌に、海堂の思考はかき乱される。 一体何が起きているのか、あまりの急展開についていけない海堂が思わず抵抗を忘れたその隙に。 「海堂さんっ」 自分のナニを海堂の下腹部にこすりつけた壇が、あ、と小さくうめく。 その感触に、海堂が我に返る瞬間。 「我慢できないですっ」 壇は、海堂のハーフパンツに手を掛けた。 「ばっ、やめ、ちょ、おいっ」 海堂の抵抗の一歩手前。壇は下着ごとハーフパンツを奪い取り。 「やっぱり・・・凄くキレイですっ」 更に興奮を高めて海堂の両足を見つめる。 「おいっ、何すんだテメェっ」 「ごめんなさい、海堂さん。少しじっとしててくださいですっ」 「何する気だっ」 さすがに蹴り飛ばされそうな気配を感じたのか。壇はあらわになった海堂の中心を握った。 「わっ、おいっ」 まだ何の反応も見せていない海堂のソコを、ぎゅっと握ると上下に扱く。 「は、んっ」 海堂とて、いくら壇相手とは言え一試合終えた後。体にはまだ多少の高ぶりが残っている。この異常な事態に陥って尚、直接的な刺激に不慣れな海堂の体は、壇の稚拙な指にも反応してしまい。 己よりもはるかに小さな指が、自分のナニに絡んでいるこの現状に。 「は、あっ」 ありえないと思いながらも思わず声が漏れる。 その声に、既に高ぶった壇のナニが更に反応する。 壇は、自分の指を舐めると、海堂の奥に、触れた。 初めての刺激に、海堂の体がびくりと強張る。けれど、壇の細い指はするりと中に入り込み。 「おい・・・」 掠れ気味の海堂の声は、すでにいっぱいいっぱいの壇の耳には入らない。 一本、二本と奥に触れる指が増えていくと、さすがに海堂の体にも微か痛みが走る。 「いっ」 「ごめんなさいです、でも、ちゃんと慣らしておけって亜久津先輩が・・・」 一体亜久津が何を教えてくれたと言うのか。 自分ももう限界が近いのだろう。はぁはぁ、と荒い呼吸を繰り返しながら海堂の奥をいじっていた壇が。 「入れるですっ」 宣言して。 海堂の片足を持ち上げた。その間に、自分の腰をねじ込んで。申し訳程度にほぐされたソコに、壇のナニがねじ込まれる。 「何しやがっ―――あぁっ」 それでもまだ未成長の壇のモノは、多少の痛みを海堂の体に与えただけで埋め込まれて。 「は、はぁっ」 経験値が少ない(と思われる)壇は、キツく締め付けるその感触にガクガクと腰を揺さぶり。 「も、もう、限界です、イ、イく、です―――っ」 悲鳴に近い高音で声を漏らし、海堂の中で、果てた。 壇は荒い息のまま、海堂の上に倒れ込む。一体何が起こったのか、パニックできちんと理解できていなかった海堂の脳味噌が、下腹部の気持ちの悪い感触に徐々にクリアになっていき。 ふつふつと沸いてきた怒りが頂点に立つ。 「てめぇ、ナニ、考えてやがるっ」 「わ、あ、ご、ごめんなさいですぅっ」 「謝るくらいなら最初からするんじゃねぇっ」 「わぁ、ご、ごめ――――イタッ」 ゴッ、と音がなるほど強く、海堂の拳が壇の頭にヒットした。 「・・・とっとと抜きやがれっ」 日も沈み暗闇が訪れたテニスコートの片隅に、怒声が響く。 海堂の怒りに、さすがの壇も慌てて体を起こしたまでは良かったが。 「あー!! 海堂さん、イってないですっ!」 「・・・・ばっ、そんなことデケェ声で言うんじゃねぇっ!!」 確かに、海堂のことなどまったく考えていなかった壇は、はっ、と気がついた。 (あぁ、僕、何してたんだっ。亜久津先輩に言われてたじゃないですかっ、スる時はちゃんと相手もイかせてやれ、って!!) 「でもぉっ」 「でももクソもねぇ、とっととソレを返せよ」 海堂が壇の手に握られたままのハーフパンツを指差せば。 「駄目ですっ。海堂さんも気持ちよくするです」 意を決した表情で言うなり、壇は海堂の股間に顔を埋めた。 「お、おいっ」 海堂は慌てて壇の頭を掴んで引き剥がそうとするが、離れない。小さな口に目いっぱい海堂のモノを頬張って。 「イかせなきゃオトコがすたるです!」 亜久津の受け売りか。多分、そんなようなことを言ったのだろう。もごもごしていて海堂には聞き取れなかったが。 そして、拙いながらも必死で舌を使い、吸い上げて。 「あっ」 ようやく、その口の中に放出した。口の端からこぼれる放たれたものを手の甲で拭って、壇はそれをゴクン、と嚥下した。 海堂にしてみれば。 (なんで俺がこんなチビに犯されなきゃなんねぇんだよ・・・) いい迷惑である。 口の端から少しだけこぼれた海堂の精液を手の甲で擦って拭い。 「気持ちよかったですか?」 得意げに聞く壇に。 「いいわけあるか、バカヤロウッ」 地を這うような海堂の怒鳴り声に、壇は肩を竦めた。 後日。 これまでの経験で打たれ強く成長した壇が、海堂の言葉をまっすぐに受け止めて。 フェ○チオマスターになるべく人知れず努力していた、などと言うことは当然海堂のあずかり知らぬ話である。 |